魚肝油ビタミンAの熱による異性化は余り著しくなく, 30分, 240℃加熱においてマレイン価が50をこえる。
肝中における異性化および肝成分のビタミンA異性化に対する影響は明らかで肝成分のない場合には240℃, 15分で5%にすぎないが, 肝成分を加えた場合は40%をこえる。肝中の異性化は, 加熱の有無にかかわらず, 48時間37℃の保温でR. P. が80%となる。凍結肝中においては異性化は進行しない。
たんぱく質, グルコースの添加は異性化を促進しないが, 血清キレート剤の添加によつてビタミンAの異性化は促進される。
精製魚肝油中のビタミンAは2カ月37℃の保存ではほとんど異性化がみられない。
以上の事実より, 魚肝油ビタミンAの相対生物効力は, 原料肝臓中の異性化によつて低下し, 蒸溜原油中に夾雑する肝成分によつて促進されることを推察した。