栄養学雑誌
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ラットにおける食餌中ビタミンEの生体内抗酸化効果と摂取たん白質レベルの関係
東條 仁美宮崎 基嘉
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1978 年 36 巻 4 号 p. 159-164

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抄録

食餌中のビタミンEが生体内で脂質の過酸化物の生成にどのような効果を持つかについて検討した。幼ウィスター系雄ラットを用い, 飼料中にビタミンEを添加した群と無添加群とについて比較し, 次のような結果を得た。
1) 肝臓, 腎臓および筋肉について測定した過酸化物の生成はビタミンE無添加群では添加群よりも有意に高値を示した。
2) ビタミンE添加群と無添加群との肝臓におけるTBA値の有意差は腎臓, 筋肉に比べ高い値を示した。
3) 飼料中のたん白レベルを窒素で1.0%から3.0%レベルまでに変えたが肝臓のTBA値に有意な差は認められなかった。
4) 肝臓における脂肪酸のパターンはビタミンE添加群と無添加群との間に若干の差異がみられた。すなわち, 添加群のパルミチン酸の比率は無添加群に比べ有意に低く, 逆にオレイン酸では有意の高値を示した。
5) 血中コレステロール量および肝臓中のコレステロール量や脂質量についてはビタミンE添加群と無添加群との間に有意差は認められなかった。
以上の結果, ビタミンEは生体内で過酸化物の生成を抑制することを認めた。

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