生活水準の向上と医療技術の進歩は, 我が国を世界有数の長寿国にした。しかし同時に, 食生活の欧米化等による動物性食品の摂取量の増加, 生活活動強度の低下に伴うエネルギー摂取量の相対的な増加は, 生活習慣病の大きな危険因子となっている。本研究では, 脳ドック受診者の食事分析結果から, 脳血管障害の発症は, 特に50歳代以降の高エネルギー・高動物性たんぱく質食の摂取が大きく関係するが, 高脂血症, 高血圧症, 糖尿病, 動脈硬化症などの脳血管障害の潜在的危険因子を抱えている場合においても, 50歳代以降からの適切な栄養管理により, その発症を抑制する可能性が示唆された。