栄養学雑誌
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中高年女性水泳愛好者の水溶性ビタミン (B1, B2, C) の栄養状態
木村 典代関根 豊子高橋 裕子井上 喜久子岡 純樋口 満
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2000 年 58 巻 6 号 p. 267-271

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抄録

近年, 定期的に運動を行う中高年者が増加しているが, 中高年者の栄養バランスや運動と栄養との関連についてはあまり研究されていない。そこで我々は, 日常の運動量が異なる中高年女性 (62人, 年齢52±6歳, BMI21.6±2.3kg/m2) を対象に, 食事調査を含む水溶性ビタミン (B1, B2, C) の栄養状態に関する調査を行った。
対象者を1週間の水泳距離によって, untrained 群(n=28), less-trained 水泳群 (n=18, 2.8±0.5km/週), well-trained 水泳群 (n=16, 5.5±1.8km/週) の3群に分けた。ビタミンB1, B2, C摂取量は, エネルギー摂取量との間に有意な相関関係が認められた (p<0.01)。エネルギー1,000kcal当たりのビタミンB1, B2摂取量は, 3群間で差は認められなかった (平均ビタミンB1:0.60±0.12mg/1,000kcal, B2: 0.84±0.18mg/1,000kca1)。ビタミンB1栄養状態の指標としての Thiamin diphosphate effect (TDP添加効果: 19.6±6.5%) は, 約1/3の者が基準域, B2栄養状態の指標としての Flavin adenine dinucleotide effect (FAD添加効果: 0.99±0.11ratio) では, 全員が基準域にあった。ビタミンC摂取量は174±103mg/日であり, 血中ビタミンC濃度に, ついても, 摂取基準値を下回った1人を除いては (48mg/日), かなり良好に保たれていた (1.17±0.24mg/dl)。
今回の対象となった中高年女性は, 各水溶性ビタミン(B1, B2, C) を所要量に対して適正量摂取しており, 栄養状態についてはビタミンB1が不足傾向, ビタミンB2, Cは良好であった。

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