栄養学雑誌
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くり返し測定による血中の鉄関連指標の変動と長期間の鉄摂取量との関係
若年成人女性の場合
亀井 明子石田 裕美上西 一弘鈴木 久乃
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2003 年 61 巻 2 号 p. 99-108

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抄録

若年成人女性10名を対象とし, 約7ヶ月間のうち調査可能な145日間の食物摂取調査及び血中の鉄関連指標の測定を8回くり返しおこなった。鉄栄養状態を評価する際の血中の指標及び鉄摂取量の変動を観察し, 血中の鉄栄養状態と比較的長期間の鉄摂取量との関係について検討した。8回の調査期間中, ほぼ問題なしとされる者が3名 (正常群), 貧血ではないがしばしば鉄欠乏を示す者3名 (境界群), 常に貧血あるいは鉄欠乏状態と判定される者4名 (低値群) となった。
五訂日本食品標準成分表を用いた145日間の個人別平均鉄摂取量は, 7.2~9.6mg/日となり, 鉄栄養状態正常群, 境界群, 低値群の3群間で, エネルギー及び栄養素摂取量に有意な違いは認められなかった。しかし, 8回くり返し測定した血清フェリチン濃度の平均値と, 145日間の魚介・肉類由来の1日平均鉄摂取量との間に, 相関係数0.646 (p<0.05) の有意な正の相関が認められた。鉄吸収阻害因子を含む穀類由来の鉄摂取量の影響を除いた魚介・肉類由来の鉄摂取量と血清フェリチンとの間の偏相関係数は0.714 (p<0.05), 同じく豆類由来の鉄摂取量の影響を除いた魚介・肉類由来の鉄摂取量と血清フェリチンとの間の偏相関係数は0.719 (p<0.05) となり, 鉄吸収阻害因子を除いた場合でも, 魚介・肉類由来の鉄摂取量と血清フェリチンとの間に有意な関係が認められた。145日間の1日平均鉄摂取量が7.2~9.6mgであり, 血清フェリチンの8回測定の平均値が10.3~50.2ng/mlにある本対象者では, 長期間の魚介・肉類由来の鉄摂取が貯蔵鉄に関係していることが示された。

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