本稿は地理学のアウトリーチについて,出版や書店という側面から検討したものである.主に書店の販売データを用いて,一般向け地理学関連書籍が書店や読者にどのように受け入れられているかを調査した.その結果,地理関連書籍は,歴史分野などと比べると発行点数も売上も少なく,読者も中高年の男性に偏っていることがわかった.また,意識的に地理コーナーを設置している書店も少なく,適切に販売する条件が整っていないことが明らかとなった.本稿によって,地理学が世間でどの程度関心をもたれているのか,またどれだけ世間に浸透しているかについて,推測することができる.