近年,廃棄されるはずの食品を企業などから収集し,食品の支援を必要とする生活困窮者などに再分配するフードバンク団体の活動が活発になってきている.しかし,地方に立地する団体の多くは東京に立地するセカンドハーベスト・ジャパン(以下,2HJ)からの食品の転送によって活動を維持できている状況にある.そこで本研究では,2HJからの転送を受けてこなかったフードバンク団体がどのようにして食品調達先を確保し,活動を維持してきたのかを,東京から遠距離にある北海道に立地するフードバンク団体を事例に明らかにした.その結果,事例としたフードバンク団体の中でも,活動を開始する以前から近接する他団体との繋がりを有していた団体は,活動初期から食品提供を受けたり,調達先を紹介してもらっていた.一方で,他団体との繋がりを有していなかった事例でも,調達方法の工夫や活動の周知によって食品調達先を確保し,活動を維持できていることもわかった.