本稿では,スウェーデン北部の鉱山都市キルナ市・イェリヴァレ市における,都市・産業の動態を追跡しながら,近年,両市で進行している都市移転の経緯について明らかにした.
鉄道や港湾の整備によって,19世紀末から本格的に,キルナ・イェリヴァレ両市において鉄鉱石の採掘がはじまった.キルナ・イェリヴァレ両市は,LKAB社の発展とともに都市形成が進み,LKAB社が社会基盤の整備にも貢献してきたことから,両市ともに企業城下町的性格を帯びてきたといえる.
キルナ鉱山やマルムベリエト鉱山では,地下で鉄鉱石を掘り進めており,2000年代以降,地表陥没の恐れが高まってきている.そこで,LKAB社は,キルナ・イェリヴァレ両市当局と協議をし,住民に対する同意をとり住民へ補償をしながら都市移転プロジェクトを進めている.
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