現在,西ヨーロッパ農村では,都市から農村への人口回帰が進展している.本研究は,フランスの人口増加農村を事例に,農村移住者の田園生活はどのようなものであり,その背景には何があるのかについて,彼らの意識に注目して論じた.カンティニ村の移住者増加は,通勤・通学地としての都市との結びつき,静かな環境,手頃な土地価格,古い農村家屋や景観の美しさが背景にあった.移住者の多くは自主リフォームを好むため,公務員など時間に余裕のある人々であった.彼らは,立地や環境だけではなく,村に活気があることを高く評価していた.カンティニ村は,住民同士の地域内でのコミュニケーションを重視する一方,それを必ずしも強制しない点が特徴といえる.