E-journal GEO
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調査報告
マッチング型ベビーシッターサービスにみるギグエコノミーの実態
畔蒜 和希
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2020 年 15 巻 2 号 p. 267-284

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抄録

オンラインのプラットフォームを通じて単発の仕事を請け負う「ギグエコノミー」が注目されている.本稿ではその一例であるマッチング型ベビーシッターサービスに着目し,ギグエコノミーの実態における一端を明らかにした.マッチング型ベビーシッターサービスでは利用者が希望する日時を指定した上でシッターを選択し,インターネット上で直接契約を交わす.サービス利用者の多くは共働き世帯であり,保育所への送迎や子どもの病気など短時間や突発的なニーズによる利用が多く,施設型の保育では供給できないサービスの領域を埋め合わせていた.シッターは保育士資格や主婦経験を持つ者の参入が多く,資格や育児経験は利用者からの信用を担保する機能を果たしていた.また生活時間のすき間を活用して保育に従事する柔軟な働き方が実現する反面,トラブルの対応やギグワーカーへの補償など,プラットフォーマーの役割や責任をめぐる課題も明らかになった.

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