2023 年 18 巻 1 号 p. 114-130
本稿では,観光庁の発表した持続可能な観光ガイドラインと日本ジオパーク委員会のジオパーク自己評価表の比較を行った.その結果,日本のジオパーク活動は,運営体制,保護・保全計画,教育,宣伝,解説,自然遺産の把握に重きが置かれる枠組といえる.こうした枠組は持続可能な観光地を目指す地域にも貢献できる可能性がある.一方,日本のジオパーク活動では客観的データの取得やその調査が弱い.ゆえに持続可能な観光を進める上では,客観的データによる状況把握や,有用な指標の開発が急務である.また,人権などの権利関係や,地質や地形に関連する他の自然環境の把握,今後生じうる観光の負の影響への対策への関心が比較的低い点も課題であるといえる.