2012 年 7 巻 1 号 p. 27-34
日本における地誌学習を,学習指導要領を中心に検討した.日本では,児童・生徒に諸地域の実態を知識として身につけさせることを目的にカリキュラムを構成してきた.平成10年告示の学習指導要領では地域の特徴を解明する方法を学ぶことがカリキュラムの中心となった.このことに批判があったが,本来この二つは,相互に補完するものである.日本の地誌学習は欧米の地誌学習と比較した場合,特殊な面を持つが,方向性は共有している.日本の地誌学習の課題は,教育現場での実践にあるが,教員だけの問題としてとらえるのではなく,教育環境も含めた教育システムの問題としてとらえる必要がある.