E-journal GEO
Online ISSN : 1880-8107
ISSN-L : 1880-8107
調査報告
韓国のクラスター政策と首都圏のイノベーションクラスター
—ソウルデジタル産業団地と板橋テクノバレーを中心に—
具 良美
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 9 巻 2 号 p. 159-171

詳細
抄録

本論文の目的は,韓国のクラスター政策を概観し,ソウルデジタル産業団地と板橋テクノバレーを事例に,首都圏地域におけるクラスターの変化を検討することにある.韓国のクラスター政策は,2000年代初頭の盧武鉉政権の登場とともに,「産業団地イノベーションクラスター事業」を中心に全国レベルで推進された.当事業の目的は,R&Dの成果とネットワーク活動の向上により,単純な工場集積地であった既存の産業団地を,イノベーティブなクラスターに格上げすることにあった.ソウルデジタル産業団地は,かつて韓国経済の離陸に寄与した初期の工業団地であったが,1990年代後半からの産業再構築の結果,サービス業中心のイノベーションクラスターに変貌した.板橋テクノバレーは,2010年からIT主要企業・機関の集積が始動した新興クラスターである.2000年代初頭以降,既存の産業団地をクラスターに格上げする投資は継続されているが,創造性を伴ったイノベーションの時代の幕開けとともに,クラスター政策も新たな方向性が求められている.

著者関連情報
© 2014 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top