一般的に, 無電解ニッケルめっき膜のはんだ濡れ性やボンディング性は, ニッケルめっき膜中のリン含有率に大きな影響を受ける。本報ではめっき初期および後続の定常期における無電解ニッケルめっき膜のリンの分布状態について報告する。EPMA測定の結果から, 初期におけるめっき膜中のリン含有率は, 後続の定常期のめっき膜より, 高い値を示すことが分かった。さらに, GDOES, AESおよびESCA測定の結果から, 無電解NiPおよび電析NiPめっき膜の最表面には, 共にリンリッチ層が形成されていることを確認した。また, 約20-40nmのリンリッチ層は, 下地素材, 前処理工程およびめっき膜の表面形態が変化しても存在することを確認した。