抄録
臓器移植以外に生存の望みのない末期的な心不全患者の社会復帰の手段として,一日も早い人工心臓システムの実用化が待たれている.これらのシステムの問題点のひとつとして,エネルギー供給問題がある.有線によるエネルギー供給は感染症の問題などがあるため,体外と体内に置かれた二つのコイル間の電磁誘導作用を利用して経皮的にエネルギーを伝送している.このため,電磁環境両立性が求められる.これまでに,現在研究開発を行っている体外結合型経皮エネルギー伝送システムと,そのEMIおよびEMSについて評価および検討を個別におこなってきたが,これらの両立に関する検討は十分に行われていない.ここでは,伝導性妨害波低減とサージイミュニティ向上に関する検討を行った.その結果,サージイミュニティ向上しながら,同時に,伝導性妨害波をCISPR規制値範囲内に十分収めることができ,しかも体外回路を41[%]軽量化可能であった.