抄録
プリント基板製造工場から排出される塩化銅エッチング廃液を工場内で銅資源として再利用するために酸化銅回収プロセスを開発した。本方式は銅含有酸性廃液をアルカリ剤に少量ずつ添加することで、反応副生成物である複塩や水酸化銅の生成を抑えつつ、純度及び溶解速度が市販品と同等の酸化銅を回収できる特長がある。ラボ試験では反応条件を検討し、塩素や他の金属類の含有率の低い酸化銅を回収できる条件を見出した。また、パイロットプラントによる実証実験ではラボ試験と同等品質の酸化銅が回収され、めっき原料として再利用可能であることが実証できた。これらの成果を基に処理量20t/dの実プラントをプリント基板工場内に納入した。