学会誌JSPEN
Online ISSN : 2434-4966
症例報告
空腸ストーマを有する短腸症候群になった血液透析患者の 水分とナトリウム管理を行った2症例
竹中 麻理子岩本 昌子東別府 直紀西岡 弘晶
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 1 巻 2 号 p. 86-91

詳細
抄録

小腸ストーマが造設された短腸症候群患者は,脱水や電解質異常をより一層合併しやすく慎重な管理が必要である.今回,血液透析患者が空腸ストーマを有する短腸症候群になり,水分とナトリウムを管理した2症例を報告する.症例1は64歳女性で,イレウスと腸管壊死のため小腸を切除し,空腸と回腸を端々吻合した.残存小腸が20~35cmで空腸ストーマを有する短腸症候群になった.経口摂取するとストーマからの排液が著明に増加するため,ほとんど経口摂取ができず,静脈栄養で管理した.症例2は71歳男性で,上腸間膜動脈血栓症と腸管壊死のため小腸と盲腸を切除し,空腸と上行結腸を端々吻合した.残存小腸が100~150cmで空腸ストーマを有する短腸症候群になり,経口摂取と静脈栄養で管理した.両症例ともドライウェイト,排液量,血清ナトリウム値などを参考にして水分とナトリウム投与量を調節したが,症例や病期により必要量は変化し,慎重に個別対応することが必要であった.

著者関連情報
© 2019 一般社団法人日本臨床栄養代謝学会
前の記事 次の記事
feedback
Top