2020 年 2 巻 3 号 p. 214-219
誤嚥性肺炎の入院後早期のエネルギー(以下,Eと略)摂取量は不足しやすく,不足は回復を阻害する可能性がある.誤嚥性肺炎382例を対象として生存退院と入院後3日目のE摂取量/体重(以下,3日目E摂取と略),入院後1週間の1日当たりE摂取量/体重(以下,1週間E摂取と略)との関係を調査した.生存退院は332例(86.9%)だった.A-DROPスコア,悪性腫瘍(転移を含む)併存,血清アルブミン値,body mass indexの4変数に,3日目E摂取または1週間E摂取のいずれか一方を加えた,計5変数を独立変数とするロジスティック回帰分析では生存退院に対する3日目E摂取の調整オッズ比は1.09(p=0.002),1週間E摂取の調整オッズ比は1.21(p<0.001)であった.E摂取が増加すると生存退院が増加した.入院後早期のE摂取量不足の回避は誤嚥性肺炎の回復に寄与する可能性がある.