2020 年 2 巻 4 号 p. 262-269
【目的】回復期リハビリテーション病棟における自宅退院の関連因子を調査する.【対象と方法】研究デザインは2016-2018年に回復期リハ病棟を退院した全患者を対象とした後ろ向きコホート研究.対象疾患を脳卒中と大腿骨近位部骨折とした.日常生活動作をfunctional independence measure(以下,FIMと略),栄養状態をmini nutritional assessment-short form(以下,MNA-SFと略)で評価した.自宅退院の関連因子をロジスティック回帰分析で検証した.【結果】対象者2,184人のうち,脳卒中は637人(年齢72歳,女性44%),大腿骨近位部骨折は348人(年齢78歳,女性73%)であった.脳卒中では入院前居住地が自宅(オッズ比10.6),退院時のFIM運動項目(同1.056),退院時の摂食嚥下レベル(同1.4)が自宅退院と関連していた.大腿骨近位部骨折では入院前自宅(同74.7),退院時のMNA-SF(同1.516)が独立して自宅退院と関連していた.【結論】回復期リハビリテーション病棟からの自宅退院には,脳卒中では嚥下機能が,大腿骨近位部骨折では栄養状態が関連していた.