2020 年 2 巻 4 号 p. 281-287
昨今の高齢化に伴い,入院時に栄養障害を有する患者は増加している.そのため,急性期病院だけでは栄養管理は完結せず,地域ぐるみの栄養トータルケアの視点がますます重要になっている.真生会富山病院の栄養サポートチーム(Nutrition Support Team:以下,NSTと略)では,地域包括ケアシステムの拠点病院として,近年は地域NSTの活動を強化している.その一環として,地域における栄養管理の現状把握と課題の抽出を目的に,在宅および近隣施設における栄養サポート体制のアンケート調査を行った.その結果,在宅においては利用者が低栄養だと認識した際,気軽に専門職に相談できる,地域の栄養サポート窓口が必要であること.近隣施設においては,栄養サポート体制には施設間格差が大きい現状が明らかとなった.シームレスな栄養管理の実現には,地域への啓発活動と適切な情報提供,地域NSTの仕組みづくりが今後の課題である.