2020 年 2 巻 4 号 p. 277-280
短腸症候群では,経口摂取ができる状態であっても長期の中心静脈栄養(total parenteral nutrition;以下,TPNと略)管理を余儀なくされる患者が存在する.その様な中で間欠的TPNにてperformance status(以下,PSと略)改善が得られた非閉塞性腸間膜虚血術後の短腸症候群患者を経験した.67歳の女性.非閉塞性腸間膜虚血を疑われ,緊急開腹術を施行された.約320cmの小腸切除を要し,残存小腸はバウヒン弁を残す約120cmとなった.術後2年間で入院を要する脱水,経口摂取不良を5回繰り返した.栄養状態,PSの悪化を認め間欠的TPN管理を開始することになった.間欠的TPN導入により,栄養状態とPS改善が得られた.われわれは本症例を経験して,短腸症候群術後早期の状態や残存腸管長のみでは長期的な栄養状態やPSなどは必ずしも予測できず,慎重な定期観察が必要と思われた.