2024 年 6 巻 1 号 p. 65-66
この度,JSPEN未来研究プロジェクト海外学会参加助成の受賞を頂き,PENSA2023にて,口演発表させて頂きました.今回は台湾の台北にある国際会議場にて2023/10/20–22の間開催されました.今回が第23回ということでしたが,私は初めての参加でした.台北は日本から非常にアクセス良好で,私の住んでいる岡山からも1日1便の直行便運航があり,比較的簡単に行くことができました.台北では天気は少し悪かったですが,その影響か気候的にも涼しく非常に過ごしやすく快適でした.また,中華料理含めて非常に料理もおいしく,安全であり,台北は交通網も発達しているため,移動も簡単で快適に3日間過ごすことができました.私は,『Effect of patient-participation continuous nutritional counseling following gastrectomy for gastric cancer』というタイトルで,胃がん術後の管理栄養士による継続的な栄養指導が,術後の体重減少や筋肉量減少を抑制し,患者さんのQuality of life(QOL)も改善するという研究内容を発表させて頂きました.私の発表会場は比較的小さかったですが,会場からもアジア各国の参加者から様々なご質問を頂き,大変感心をもって頂き嬉しく思いました.また,司会をお努め頂いた先生のお一人は管理栄養士の方でしたので,管理栄養士の介入による良好な結果に喜ばれておられました.私のセッションでは周術期の栄養に加え,ICUにおける敗血症管理など様々なテーマの内容について韓国,マレーシア,インドネシアなどから口演発表されていましたが,体組成計を用いた研究内容やサルコペニアに関する研究内容も多く,私の研究内容とも近く,また日本でのトレンドとも似た内容がアジアでも注目されているのだと実感しました.さらに,発表内容については,私の発表内容は後ろ向きのデータ収集した研究内容でしたが,他の発表者は,前向きのRandomized controlled trial(以下,RCTと略)を行っているものが多く,やはり前向きRCT試験の重要性を再認識しました.
その他のシンポジウムでは,各国のPEN組織の歴史や取り組み,NSTチームによる保険診療点数加算などについて勉強しましたが,JSPENは他国の組織に比べて歴史もあり,非常に先進的に取り組み,また会員数も他の組織に比べると非常に多いことに驚きました.ただ,一方このPENSA自体への日本からの発表者や参加者は非常に少なく,日本人の海外への進出やアピールも必要だと感じました.また,医師だけでなく多職種の発表者が多く,国内学会のみならず海外学会でも多職種の人がしっかりと研究,発表を行うことの重要性を再認識しました.
印象に残った発表では,栄養部門でのシステム化やAI進出の発表でした.現在我々は,入院時に各主治医がいくつかの食事選択肢の中から選択して,食事オーダーをしていますが,患者の身体状況,病名,アレルギーや嗜好を入力すると,その患者に合った最適の食事内容,形態,栄養成分が蓄積データから算出されて提供されるというものでした.またそのようなアプリもいくつか開発されているようであり,栄養部門へのAI応用も進んでいるのだと感じました.このようなシステムが電子カルテの入院オーダーシステムに組み込まれれば,効率的に最適な食事や栄養を提供できると感じました.さらに,Nutrition support team(NST)回診の際には,我々の施設ではマンパワー不足が問題となっていますが,このようなシステムの導入によっても解消されるのではないかと感じ,大変興味をもちました.
2日目の夜には会場の隣にありますホテルでGala dinnerが開催され,参加させて頂きました.国際学会のpartyということで,非常に華やかで楽しい会でした.Gala dinnerでは会長のWang先生ともご挨拶,お話しができて非常に有意義なものとなりました.台湾の伝統舞踊から,歌手による各国の代表曲披露があり,最後は参加者もステージ上で歌われており,大変盛り上がっておりました.
最終日は移動のため,参加できませんでしたが,大変勉強になり,刺激になる3日間でした.今回このような貴重な機会を頂き,JSPEN未来研究プロジェクトの先生方には大変感謝しております.今回の経験を明日からの診療や研究に生かしていきたいと感じました.またJSPENの皆様にも少しでも還元できるように励んでいきたいと考えております.