長崎リハビリテーション病院
2. 研修期間2024年2月5日~2月9日
この度は貴重な機会を与えて下さった日本栄養治療学会(旧:日本臨床栄養代謝学会)の先生方並びにご多忙の中研修を受け入れて下さった長崎リハビリテーション病院の先生方へ御礼申し上げます.
私が在職している済生会小樽病院は378床を有し,急性期から回復期・在宅まで一貫した医療を提供していることが特徴です.私は回復期病棟の栄養管理を担当しており,希望施設にて研修を受けることが叶いとても嬉しい気持ちとなりました.
当院が位置する北海道小樽市は雪国ではありますが研修先の長崎市と同じように非常に坂が多い街となっており,長崎市でも小樽市と同様に自転車での移動や玄関から車への移乗へ苦労するのではないかという印象を持っていました.そのような地域特性が栄養管理にどのように影響を与えるかについても興味深く思っており実際にお話をお聞きしたところ,車で移動できる場所から玄関まで傾斜や階段があるためActivities of Daily Livingの向上や歩行能力の獲得が自宅での生活に影響しているとのことで,回復期におけるリハビリや栄養管理の重要性をより一層に感じた次第でした.
回復期病棟では急性期と比較し採血や画像検査の頻度が少ないため限られた情報の中から患者様の栄養アセスメントを行うことが重要となります.そのため入院時の前医情報や理学的所見・問診による生活背景の聴取などから栄養学的課題を抽出し適切なアプローチに繋げることが肝要であると学びました.私は理学的所見の中で特に聴診について経験がなく,苦手としていたため今回の研修で要点を助言して頂きました.一つアセスメントできる項目が増えることで患者様の身体状況がより鮮明にわかるようになり栄養アセスメントや栄養プランに幅を持つことができるようになったことが非常に嬉しく思います.
さらに研修を通して多職種連携・情報共有といったものの重要性を改めて実感致しました.研修施設様では入院される患者様に対し,入院日に各専門職による入院時合同評価が実施され嚥下障害や代謝障害を抱える症例であればその場で意見交換を行い,迅速かつ適切な栄養管理が実践されていることが印象的でした.栄養管理が難渋する症例については各職種にて課題解決の方策を検討し,現状の目標を共有することで効果的な支援ができると身に染みて思う研修となりました.
回復期における栄養管理の学びでは入院期間において現在はどのような段階であるか想像し入院中の栄養管理と退院後の生活支援の二つの視点で関わることが重要であるとご指導頂きました.回復期病棟の入院初期は急性期を脱した直後で低栄養に対する支援が非常に大切であると思いますが,退院日が近づくにつれて退院後の生活支援が肝要であると学びました.例えば,退院後に自宅で栄養状態を維持することができる食環境にあるのか,身体機能・嚥下機能を考慮し安全に調理・食事を行うことができるのか,基礎疾患に対する適切な栄養療法の知識を持ち合わせているのか.退院がゴールではなく退院した後に患者様が健康にその人らしい生活を送るためにはどのような支援が必要か考えることが回復期病棟に勤める管理栄養士の役割の一つであると実感致しました.研修施設様には通所リハビリテーション事業所のほか居宅療養管理指導事業所が併設されており,これらを見学させて頂くことで入院から在宅まで一貫した栄養療法を提供する重要性についても学ぶことができました.
研修を通して急性期病院から転院されてきた患者様・回復期病棟に入院される患者様・居宅療養管理指導事業所における訪問栄養指導による在宅の支援,このように各ステージにおける管理栄養士としての支援・関わりについて触れることで,これらの繋がりを意識し,より適切な支援・助言に結びついていくものであると実感しました.
この5日間はとても学びや刺激の多いもので,先進的な取り組みをされている研修施設様にて勉強させて頂き,自身の至らない部分や勉強不足である点について振り返ることができました.自らの技能や今後のキャリアについて見つめ直すことができ,一層努力に励み自施設の職員の皆様と協力し充実した栄養管理を実践できるように日々の時間を大切にしていきたいと感じた次第です.
私自身は管理栄養士のキャリアを積み重ねてまもなく9年目を迎えることになり自身よりも若いキャリアを持つ管理栄養士と一緒にお仕事をさせて頂く機会が増えて参りました.自分自身の成長に励み,他施設への研修や学会参加等の積極的な活動が周囲へ前向きな影響を与えることができればと願うところです.今回快く送り出してくれた自施設の職員の皆様へ感謝し,得た学びを一つでも多く日頃の業務に反映していければと思っています.
最後になりますが国内施設研修支援制度に関わる先生方へ初めての研修者として研修への参加機会を頂いたこと,長崎リハビリテーション病院にてご指導賜りました先生方へご多忙の中研修を受け入れて下さったことについて御礼申し上げます.まだまだ未熟な身ではありますが今後ともご指導・ご鞭撻の程,宜しくお願い申し上げます.
掲載している写真は,被写体となった方から掲載への同意を得ています.