学会誌JSPEN
Online ISSN : 2434-4966
6 巻, 3 号
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目次
臨床経験
  • 伊丹 優貴子, 片岡 明美, 榎田 滋穂, 中屋 恵梨香, 高木 久美, 松下 亜由子, 川名 加織, 斎野 容子, 井田 智, 熊谷 厚志
    原稿種別: 臨床経験
    2024 年6 巻3 号 p. 133-138
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/01/31
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    背景:乳がん関連上肢リンパ浮腫において,減量は浮腫を改善するが体脂肪量減少と浮腫改善の関連は明らかではない.

    対象・方法:2016年6月~2018年12月に栄養指導を実施した乳がん関連上肢リンパ浮腫患者.体脂肪量変化と浮腫改善効果の関連を後方視的に検討した.

    結果:対象27名の指導後Body mass index(kg/m2)中央値(範囲)は27.6(23.5–38.9)であり,指導開始前の28.5(23.4–43.2)と比較して有意に減少した(P < 0.001).患側細胞外水分比は0.388(0.372–0.422)であり,指導開始前の0.390(0.378–0.421)と比較して減少傾向が見られた(P = 0.211).浮腫減少良好群の健側体脂肪量変化は–0.20(–1.35~+0.19)kg,不良群のそれは–0.01(–0.96~+0.57)kgであった(P = 0.049).

    結語:栄養指導による減量はリンパ浮腫を改善した.改善度合いは病期などによる個人差があるため,患側の浮腫測定だけではなく,健側の脂肪量測定が適切な栄養指導の評価指標になり得る.

症例報告
  • 森 俊明, 水谷 佳子
    原稿種別: 症例報告
    2024 年6 巻3 号 p. 139-142
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/01/31
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    経皮内視鏡的胃瘻造設術(percutaneous endoscopic gastrostomy;PEG)の際,その利便性からバンパー・ボタン型胃瘻カテーテルが選択されることも多い.一方でその形状から交換時の瘻孔損傷による誤挿入が合併症の一つとされている.今回,胃瘻作成約1年後に行ったバンパー・ボタン型胃瘻カテーテル交換時の瘻孔損傷により腹膜炎を発症し,腹腔鏡下手術により胃瘻再造設と腹腔洗浄ドレナージ術を施行した症例を経験した.基礎疾患のある患者に対する治療手段として有用であったと考えられる.

  • 村山 敦, 高見 友也, 松浦 幸, 姜 良順, 賀集-魚住 のぞみ, 中井 千夏, 敦見 真由美, 寺内 京子, 徳永 祐子, 植田 智恵
    原稿種別: 症例報告
    2024 年6 巻3 号 p. 143-148
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/01/31
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    Stevens-Johnson症候群(以下,SJSと略)に罹患し経口摂取困難となった76歳男性に経腸栄養を開始したところ,refeeding症候群(以下,RFSと略)を発症した症例を報告する.薬疹と低ナトリウム血症にて緊急入院,経時的に口腔粘膜の出血性びらんが増悪しSJSと診断された.入院当初は経口摂取可能であったが,徐々に摂取量は減少し5日間全くエネルギーが摂取できなかった.経腸栄養を開始したところ,開始2日目に血清リン値の急激な低下と深大性呼吸,意識混濁を認め,RFSと診断した.直ちに経腸栄養を中止し経静脈的にリンの補正を行った後,脂肪乳剤併用しながらごく少量からの経腸栄養を再開した.SJSとRFSに対する治療は奏効し寛解に至り,完全経口摂取へ移行できた.経口摂取困難になったSJS患者に経腸栄養を開始するときは,低栄養状態になった他疾患患者と同様,栄養投与開始後の低リン血症に起因するRFSのリスク考慮した栄養療法を行う必要がある.

  • 中田 俊朗
    原稿種別: 症例報告
    2024 年6 巻3 号 p. 149-153
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/01/31
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    症例は80歳男性.数カ月前からの全身倦怠感と体重減少を主訴に受診された.大球性貧血を認め,ビタミンB12は低値であった.胃体部優位な高度萎縮を認め,自己免疫性胃炎による悪性貧血と診断した.標準治療はビタミンB12の非経口投与であるが,高齢で日常生活動作(Activities of Daily Living;以下,ADLと略)が低く,頻回の受診が困難であった.ビタミンB12はそのほとんどが内因子を介する経路で吸収されるが,高用量を摂取した時には濃度勾配依存性に吸収される.そこでビタミンB12経口投与にて治療を開始し速やかに自覚症状と貧血は改善した.ビタミンB12経口投与が著効した自己免疫性胃炎による悪性貧血の症例は稀であり,貴重な症例と考え,文献的考察を加えてこれを報告する.

研究報告
  • 神田 美里, 遠藤 美織, 産本 陽平
    原稿種別: 研究報告
    2024 年6 巻3 号 p. 155-160
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/01/31
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    【目的】アナモレリン導入後の早期改善効果と患者予後との関連を調査する.

    【方法】2021年7月1日~2023年6月30日にがん悪液質と診断され,アナモレリンが導入された消化器がん患者を調査した.初回評価時に体重増加および食欲不振の改善を得た患者:早期改善群と,その他:非改善群に分け,患者背景,継続投与の有無,予後を比較検討した.

    【結果】対象は65名(早期改善群12名,非改善群53名),早期改善群は導入前6カ月の体重減少率が大きく,全例アナモレリンを12週継続できていた.3カ月死亡は早期改善群0% vs非改善群32.1%で(P = 0.027),6カ月死亡は16.7% vs 52.8%(P = 0.028)と早期改善群で低値だった.

    【結語】アナモレリンの早期改善効果は,以降の継続投与や患者予後に影響することが示唆された.早期改善に関連する患者因子は未だ不明点が多く,更なる検討が望まれる.

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