抄録
我々はすでに4'-n-ドコシルオキシ-3'-ニトロビフェニル-4-カルボン酸 (ANBC-22)のサーモトロピックキュービック(Cub)相発現温度の低温側のSmC相温度領域で電場を印加することでCub相への転移が誘起できることを報告しているが、今回さらにその詳細を検討した。その結果、予期せぬ結果として、従来決定された無電場下の相転移温度(TSmC-Cub = ca. 408 K) の8K低温側において、無電場であっても、数時間という大変長い誘導期間を経て相転移が起こることを見出した。そして、真の相転移温度は397K付近にあることが示唆された。397Kから408Kの間の温度領域はCub相の発現が速度論的に強く抑制された温度領域であり、電場はSmC相におけるCub相の核生成と成長を大きく促進することで、見かけ上、相転移を誘起したと考えられる。