抄録
SmCA*の低温側にはHxIA*やHxI*が現れ,SmC*およびSmCA*の関係とは逆に, HxIA*がHxI*の高温相である.また,X線で層間隔の温度変化を測定すると, HxIA*やHxI*ではSmAよりも大きくなることも知られおり,層内隣接分子が相互 にずれるためではないかと考えられてきた.我々はホメオトロピックセルを使 い,フェニル環のC_-_C伸縮振動をIR分光測定し,配向秩序パラメータの温度変 化を求めたところ,X線の結果と酷似していることを見出した.これはヘキサ ティック相では分子が傾いていないことを明確に示している.ヘキサティック 相における新規な反強誘電性出現機構を本報告で提唱する.