2018 年 40 巻 3 号 p. 190-194
近年,非侵襲的撮像法として注目されているarterial spin labeling(ASL)-cerebral blood flow(CBF)と15O-PET CBF を比較し,脳循環遅延および術後過灌流を呈したモヤモヤ病2 症例に関してその特徴を報告する.症例1 は脳循環遅延例であるが,arterial transit time(ATT)の延長を反映し,short post labeling delay(PLD)の撮影では血流低下が過大評価され,long PLD の方がより15O-PET CBFに近似した画像が得られた.症例2 は術後過灌流例であるが,ATT が短縮するためshort PLD の方がより15O-PET CBF に近似した結果となった.したがって,ASL は非侵襲的かつ簡便に施行できる脳循環検査である一方で,ATT の差異により得られる画像が変化するため,その特徴を把握したうえで,画像の評価および結果の判断を行う必要がある.