抄録
フレキシブルディスプレイ用途として、アモルファスIn-Ga-Zn(a-IGZO)酸化物を用いた薄膜トランジスタを室温プロセスにてプラスチック基板上に作製した。素子構造は検討の結果、安定性の高いコプラナー型トップゲート構造を採用した。プラスチック基板に適応させるため、ゲート絶縁膜の室温成膜方法の検討を実施し、室温スパッタリング法等を用いることにより全ての膜を室温で成膜した。熱処理によるプロセス温度180 ºCにおいて、電界効果移動度(µ)11 cm2/Vs、しきい値電圧(Vth)0.3 V、Sパラメーター(S)0.29 V/decade、電流のon-off比(Ion/off)108という、移動度が10 cm2/Vsを上回る良好なIGZO膜を得ることに成功した。高分子フィルムへの適用性を高める目的で、プロセスのさらなる低温化検討を実施した。その結果、150 ºCという低温での熱処理プロセスにおいても、µ=7.4 cm2/Vs、Vth =0.3 V、S¬=0.33 V/decade、Ion/off = 108という良好な特性を示すデバイスの作製に成功した。これらの特性は、60 ºC and 90 % RHにおける環境試験250時間実施後でもわずかな変化しか認められなかった。またヒステリシスにおいてもΔVth 0.5 Vと安定した結果が得られており、安定性の高いデバイスが得られた。