2015 年 59 巻 1 号 p. 1-7
本研究では,1枚のゲル上でリン酸化タンパク質と全タンパク質を検出し分けるためにあらかじめ蛍光標識したサンプルを泳動し,Pro-Q Diamond染色後にそれぞれの波長で検出する手法の開発を目指した.また,共通の内部標準を用いることで,異なるゲル間でのリン酸化タンパク質比較定量解析の高精度化を目指した.内部標準は,スポット位置・蛍光強度補正用のものとリン酸化タンパク質スポット蛍光強度補正用のものの2種類を用いた.本手法を用いてアンドロゲン依存性前立腺癌細胞と非依存性前立腺癌細胞のリン酸化タンパク質の定量比較解析と主成分分析を行った.その結果,アンドロゲンへの依存性が異なる細胞グループを区別する第一主成分を得ることができた.この結果がショットガン解析で有意差のあるペプチドのみを対象とした主成分分析の結果と一致したことから,リン酸化タンパク質比較定量解析において本手法が有効であることが示された.