電気泳動
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総合論文
超高感度キャピラリー電気泳動を用いた微量オミックス分析
川井 隆之
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2020 年 64 巻 1 号 p. 23-26

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抄録

複雑な生命システムを解明するためには,微量生体試料の網羅解析技術が必要である.そこで本研究ではキャピラリー電気泳動(CE)に注目し,試料を最大2000倍濃縮できるlarge-volume dual preconcentration by isotachophoresis and stacking(LDIS)法を新規開発し,各種オミックス分析を微量で実現可能かを検証した.CE-蛍光検出を用いたグライコーム解析においては,LDIS法により従来法より約2000倍高感度な350 fM(420 zmol)の検出下限を実現し,3種類の細胞株における糖鎖プロファイルを見分けることに成功した.CE-質量分析を用いたメタボローム解析においても従来法より最大で800倍の高感度化な450 fM(540 zmol)の検出下限を実現し,HeLa細胞を対象とした一細胞分析では20種類のアミノ酸の定量および40種類の代謝物の同定に成功した.

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© 2020 日本電気泳動学会
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