電気泳動
Online ISSN : 2189-2636
Print ISSN : 2189-2628
ISSN-L : 2189-2636
論文種目:総合論文
キャピラリー電気泳動質量分析法を用いた食品・農産物の体系的な解析
若山 正隆
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 66 巻 2 号 p. 91-95

詳細
抄録

様々な物質を一斉に分析するメタボローム解析のうち,極性低分子(アミノ酸類,有機酸類,核酸類)についてはキャピラリー電気泳動質量分析(CE-MS)法がしばしば用いられる.食品・農産物は多種多様であり,分析ターゲットなる極性低分子は呈味性,栄養・機能性等に関与することも多く,品質の維持,向上に重要な役割を持っている.しかしながら多種多様の材料を安定的に測定するには適切な前処理および分析の工夫が必要である.本報では生材料に対して固定溶媒添加および未添加条件下での破砕,および凍結乾燥材料の安定的な破砕および抽出手法を紹介し,さらにCEにおいてキャリーオーバーが少なく,電流降下が少ない試料導入並びに検量性の高い質量分析法を用いたメタボローム手法を紹介する.これらの安定的な分析手法を用いて食品,農産物に対しての品質の維持,向上に貢献できうる実験系の提示と将来像について考察する.

著者関連情報
© 2022 日本電気泳動学会
前の記事 次の記事
feedback
Top