2024 年 68 巻 1 号 p. 69-72
隆起性皮膚線維肉腫(dermatofibrosarcoma protuberans, DFSP)は,線維芽細胞由来の中間悪性腫瘍であり,COL1A1-PDGFB転座が特徴である.DFSPの治療は切除が一般的であり,切除不能や再発転移性の患者にはPDGFR阻害剤のイマチニブが投与される.イマチニブを投与した患者のうちの10%は抵抗性を示す.したがって,そのような治療抵抗性のDFSP患者に奏効する薬剤が必要である.患者由来細胞株は治療法開発の重要なツールであるが,公的細胞株バンクから入手可能なDFSP細胞株は2株のみであり不足している.そこで我々は21例のDFSP患者から細胞株樹立を試み,5株の樹立に成功した(成功率24%).樹立した5細胞株すべてで,short tandem repeat検査およびマイコプラズマ検査を行い,細胞株やマイコプラズマとのコンタミネーションがないことを確認した.これら5細胞株を用いた薬剤スクリーニング試験により,DFSP症例においてイマチニブ抵抗性であったとしても,ボルテゾミブが有望な治療薬となる可能性が示唆された.