日本内分泌学会雑誌
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Estrogenの螢光スペクトルとフィルターの撰択
赤須 文男大木 博
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1958 年 34 巻 8 号 p. 740-744,708

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抄録

現在, Steroid hormoneの定量法は一般に比色法に基くために目的物質が一定濃度以上のものに限られ, 比較的多量の材料を必要とする.しかし臨床検査のために材料を頻回, 且多量に採取することは不可能な場合が多い.これに反しビタミン類の定量に応用されている螢光定量法は比色法に比して微量を測定できる利点がある.本法の原理は, 発螢光物質を含む溶液に励起光を照射して螢光を発せしめ, その螢光強度より目的物質を定量するにある.
Marrian, Wielandらは硫酸で処理したSteroid hormoneが螢光を発することを知り, Jailer, Slaunwhite, Batesらは尿中Estrogen (以下Est.と略) の測定に螢光法を採用した.本邦においても増田, 細井・神戸川, 浅野, 中山, 中尾・相沢らの報告がある.いかなる測定法も目的物質のみを取り出して特異的に測定することが望ましいが, ことに螢光法は微量を対象とする関係上, 混在する不純発螢光物質を可及的充分に除かねばならない.
我々は数年前から螢光法によるEst.の定量に注目し研究を進めてきたが, 今回は標準及び尿中Est.の螢光スペクトルを測定してその特性を知ると共に, 不純な発螢光物質による盲螢光を如何にして除くかを検討し, 同時に, ビタミン, 発螢光法及び抽出法の相異がスペクトルに及ばす影響も観察したので以下大要を述べる.

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