日本内分泌学会雑誌
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間脳電気刺激による排卵誘発の臨床応用への試み
古賀 康八郎岡村 靖納富 廉正
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1965 年 41 巻 6 号 p. 727-730

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抄録

従来,間脳-下垂体障害による無排卵症に対する治療法としては, 臨床上, exogenにHormoneを投与する (主としてGonadotropinが用いられているが, 近年EstrogenおよびCortisonによる排卵誘発も試みられている) か, または, 間脳レ線照射が用いられて来た.しかし, 前者はHormone投与による抗体産生, Gonadotropin大量投与による卵巣腫大, 更に, 稀には茎捻転が認められ, 後者においては照射部位の脱毛および装置の簡便性に乏しい欠点がある.
近年, 下垂体一卵巣系の上位調節機構として, 大脳皮質→間脳→下垂体の刺戟伝達のメカニズムについての研究に多くの進展をみ, 自律中枢としての視床下部が内分泌系の調節に密接な関連を有することが次第に明らかにされつつあるが, 必然的に治療法としても間脳の機能調整が重視さるべきであり, 私たちは, 動物実験で間脳を直接電気刺激すると排卵が起こる現象 (Hαywqrdら, 1964) に着眼し, 新らたに人の間脳に弱い電流を通じる (頭蓋の上から間接的に) ことによつて, 間脳にmildな刺激を与え, 排卵誘発に成功したので報告する.

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