抄録
本研究では,1993年から2002年までの調査結果に基づいて,伊勢湾の底層の環境変動,特に貧酸素水塊の消長とメガベントスの分布との関連に焦点を当てて解析を行った.伊勢湾のメガベントス群集は2グループ(A,B)に分けられ,グループAは湾中央部から湾奥部にかけて底質がシルトークレイの海域に,グループBは主に湾口部から湾東側にかけての主に砂質底の海域に分布した.いずれのグループのメガベントスも,密度,生物量及び種数は春季から貧酸素水塊が発達する直前の時期にかけて最高・最大となり,貧酸素水塊発達後の秋季に最低・最小となったが,貧酸素水塊による影響はグループAのメガベントスに対してより顕著であった.貧酸素水塊の解消後の冬季には,グループAとBのメガベントスの密度,生物量及び種数はいずれも増加するが,これには,主に小型個体,つまり新規加入群の増加が関与していると考えられる.