抄録
サーモグラフィカメラを搭載したバルーンを観測船から揚げて,海面の熱赤外画像を撮影する空撮技術を用いて,夏季
の沿岸域に形成される沿岸海洋前線周辺の海表面水温の低高度観測を実施した.空撮された熱赤外画像の各ピクセルを直交座標上に再配列する処理を施すことで,前線の正確な位置や海表面水温データを取得した.この幾何補正処理のため,サーモカメラに取り付けた姿勢センサで連続計測したピッチ角とロール角と,そして画像に映り込んだ2つのGPS 付ブイの位置情報によって計算された方位角が用いられた.空撮した熱赤外画像を見ると,画像の中心から同心円状に高温領域が広がる様相を呈していた.これは,レンズに入射する赤外放射エネルギーの収差によると考えられる.そこで,観測された水温を,三次元楕円体を仮定した二次関数に最小二乗法で近似し,楕円体からの空間偏差を求めることで海表面水温の空間偏差分布を求めた.