抄録
近代科学は数学を言語としていることにより特徴付けられるが、本研究では数学の中でも特にトポロジーを利用して、意識から世界が生み出される構造について議論している。それは、科学において失われた「私」を奪還するための闘いである。そこでトポロジーは、形態の概念を記述する言語としてだけではなく概念の形態(すなわち概念の概念)を記述する言語として利用されている。そこでは、物の概念の原型から世界が生み出されていく描像が示されるが、それに加えて離散的な概念からも同じ描像が示される。それは「私」と同じように世界を構築する、人工知能が描く世界を示唆するものである。