2020年度から教科書をディジタル化した“学習者用デジタル教科書”が紙の教科書の代わりとして使用できるようになった.“学習者用デジタル教科書”には「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善や,特別な配慮を要する児童生徒の困難軽減が期待されている.しかし,その活用によって生じる効果の検証の報告はまだ少ない.我々は2015年度から2018年度にかけて,公立小学校における国語の授業において“学習者用デジタル教科書”を日常的に活用することを試みてきた.本論文では,この中で行った“学習者用デジタル教科書”を使った場合と使わなかった場合の児童の学力(国語科の評価の観点を測った得点)の変化の検証について報告する.2018年度には,1年間に渡って“学習者用デジタル教科書”を使った場合,使わなかった場合に比べ,学力検査の得点の変化が大きくなる(得点が向上する)結果が得られた.