日本生態学会大会講演要旨集
第51回日本生態学会大会 釧路大会
セッションID: P3-108c
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北海道胆振地方におけるセイヨウオオマルハナバチおよび在来マルハナバチ類各種の資源利用と活動季節パターン
*中島 真紀松村 千鶴横山 潤鷲谷 いづみ
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抄録

野生化したセイヨウオオマルハナバチが在来マルハナバチ類に与える影響を評価するために、(1)採餌環境 (2)活動季節パターン (3)利用する植物の種類を比較した。調査は勇払郡鵡川町・厚真町において、2003年_から_2004年にかけて実施した。2003年は7月下旬_から_10月に約7.5km2の調査地を踏査し、目撃個体数、訪花植物、周囲の環境類型などを記録した。その結果、調査地でもっとも多く目撃されたのはセイヨウオオマルハナバチであった(63.8%)。在来マルハナバチ類は、採餌場所(河川敷や耕作地を含む開けた環境あるいは樹林環境)や利用植物(花冠の浅い花あるいは深い花)の選好性、および活動季節パターン(7月下旬_から_8月あるいは8月下旬に活動のピーク)が異なっていた。それに対してセイヨウオオマルハナバチは、エゾオオマルハナバチと採餌環境、活動季節パターン、利用植物が類似しており、ニセハイイロマルハナバチと採餌環境、利用植物が類似していた。エゾトラマルハナバチとはいずれも異なる傾向がみられた。2004年は2003年と同様の調査だけでなく、より定量的な調査を行うために河川敷、耕作地、防風林縁、樹林を含む3つのルートセンサス調査を加えた。樹林環境ではエゾコマルハナバチ、エゾオオマルハナバチ、エゾトラマルハナバチ、シュレンクマルハナバチの女王が確認されたが、河川敷や耕作地では70%がセイヨウオオマルハナバチの女王であった。

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© 2004 日本生態学会
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