日本生態学会大会講演要旨集
第51回日本生態学会大会 釧路大会
セッションID: P3-109c
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小笠原諸島陸産貝類への脅威,ニューギニアヤリガタリクウズムシは貝類以外に何を食べているか?
*大林 隆司大河内 勇佐藤 大樹小野 剛
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抄録
ニューギニア原産の陸棲プラナリア,ニューギニアヤリガタリクウズムシ(Platydemus manokwari: 以下,P. m. と記す)は,1990年代に小笠原諸島・父島に侵入したとされる。もともと小笠原に分布している固有陸産貝類や,1930年代に小笠原に持ち込まれたアフリカマイマイなどの外来種は,父島では1980年代以降激減したが,P. m. はその要因の1つであると推測されている。このことは,現時点で,P. m. が未侵入の母島では固有種・外来種とも以前とそれほど変わらない密度で生存していることからも支持される。1998年から2004年にかけて父島内のP. m. の分布を調査した結果,本種は過去に陸産貝類が分布したが現在は分布しない地域でも非常に高密度で分布することがわかった。従来の調査で陸産貝類の捕食しか報告のない本種が,なぜ貝類のいない地域でも高密度で分布するのか?そこで主に飼育条件下で本種の食性を調査した結果,本種は生きた陸産貝類以外のものも食べることがわかった。従って,いったん本種が侵入した父島では,今後陸産貝類が生存することは極めて困難であろうと推測される。
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© 2004 日本生態学会
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