日本生態学会大会講演要旨集
第52回日本生態学会大会 大阪大会
セッションID: S3-4
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技術論を越えて:生態学会と自然保護との関わり方への提言
*河野 昭一
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抄録

過去30余年にわたり自然保護・保全問題にさまざまな形で関与してきた。対象地域は国有林、保安林、国立公園、国定公園、地方自治体自然環境保全地域、民有地、企業所有地など、実にさまざまである。国有林、保安林は、林野庁の所管である。国立公園、国定公園は、環境省の所管であるが、国定公園は指定以後は、地域の地方自治体の所管となる。県立自然公園、県有林、その他の指定地域は、都道府県、市町村などの地方自治体の所管である。中には、優れた景観、生物多様性と保持した民有地もある。しかし、なぜか国の所管である国有林、保安林、国立公園、国定公園ほど、発生する破壊の規模が大きく、しかも日本列島の自然環境と生物相の保護・保全の根幹に関わる問題が大きい。研究者の組織としての日本生態学会には、自然保護専門委員会がある。上記の保護対象カテゴリーに帰属する対象地域の自然環境、生態系、生物多様性は、そのいずれをとっても、極めて原生的自然の原型を保持し、従って公共性、公益性が高い自然環境保全・保護地域であるが、その破壊行為の阻止に対し、研究者の組織として如何なる役割を果たしてきたか。今、正にその検証が迫られている。

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© 2005 日本生態学会
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