日本生態学会大会講演要旨集
第52回日本生態学会大会 大阪大会
セッションID: D207
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潜在生息モデルを利用した淡水魚類の保全
*福島 路生亀山 哲
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抄録

北海道の淡水魚類の生息状況に関するデータベースを約800編の文献をもとに作成し,そのデータを使用して魚種ごとの潜在生息モデルを構築した.これらのモデルから,ダムによる流域分断の影響の度合いやその分布を推定できること,また既存の保全地域の設定状況を評価できること(ギャップ解析)などを紹介したい.一般化加法モデルを採用し,サクラマスとイトウに焦点を当てて潜在生息状況を推定した.その結果,サクラマスの生息確率はダム竣工からの経過年数とともに低下すること,また生息確率が低下した地域が全道にパッチ状に分布することが分かった.またイトウに関してはこれまで採捕の記録がほとんどない地域にも潜在的に生息できる河川流域が分布することが分かった.北海道の水産資源保護法が設定する32の保護水面は,サクラマスの生息適地を的確に保全地域として認識しているのに対して,イトウの保全にはあまり有効ではないことが明らかとなった.

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© 2005 日本生態学会
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