日本生態学会大会講演要旨集
第52回日本生態学会大会 大阪大会
セッションID: P2-006
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ミクリ(Sparganium erectum)の生長・枯死・分解特性に関する観測
*大田 純一板橋 淳浅枝 隆藤野 毅
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抄録
ミクリ(Sparganium erectum)は準絶滅危惧種に指定され、保全が急務とされている。しかしながら、その生態はよく知られていないのが現状である。本研究は、埼玉県元荒川上流に生育するミクリの観察し、サンプリングを行ってバイオマスの季節変化や物質移動特性について調査した。その結果を要約すると、以下のようである。・ミクリはその形態的な特徴として、抽水状態の葉茎と沈水状態の葉茎が混在し、葉の枚数や葉茎の直径に顕著な差が生じている。・ミクリの生長において、秋季から2次葉茎増加したが、これは春先より形成していた沈水性の葉茎が発達したものと考えられる。・注水性のミクリは、夏季まで葉茎の数と高さが増加し、バイオマスが増加したが、葉茎はヨシやガマのように強固なものではなく、マコモのようにしなる性質でもなく、強風によって容易に折られた。折られたバイオマスはその分解が早く、消滅したものの、沈水性の葉茎が発達し、2次葉茎としてバイオマスは回復した。 こうした形態の変化について、各部位の可溶性炭水化物等を分析し、その転流特性について調べている。
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© 2005 日本生態学会
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