日本生態学会大会講演要旨集
第52回日本生態学会大会 大阪大会
セッションID: S15-5
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多夫多妻性イワヒバリにおける父性をめぐる争い
*齋藤 大地
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抄録
鳥類の90%以上は社会的一夫一妻で,一見すると雌雄で利害の対立がないように見受けられる.ところが,遺伝子マーカーを用いた親子判定技術の確立により,多くの鳥種で婚外交尾による婚外子の存在が明らかになった.また,行動観察や野外実験からメスは積極的に婚外交尾の誘引をおこない,オスはつがいメスの婚外交尾を防ぐために配偶者防衛行動やその他の行動をとっていることがわかってきている.このような雌雄の対立はペア内の個体の質や状態だけでなく,婚外交尾の相手になりうるペア外のオス,そのオスのつがいメスの質や状態によっても影響されることが考えられる.しかし,一夫一妻種では潜在的にペア内の繁殖に影響を与える個体を把握することは困難であるため,父性の配分がどのような要因で決まっているのかは研究によって結論が大きく異なっている. イワヒバリは,非血縁個体からなる複数のオスと複数のメスがグループで繁殖する多夫多妻性の協同繁殖鳥類である.イワヒバリは配偶がグループ内に限られているため,配偶を争う潜在的な相手を特定することが可能である.今回の発表では,オスとメスの対立の結果である父性の配分が配偶に関係する個体の質や状況によってどのように変るのか,マイクロサテライトによる父性判定の結果を用いて報告する.
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© 2005 日本生態学会
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