日本第四紀学会の組織改革で新たに設置される5領域のうち,領域「人類と生物圏」では,「気候・環境変動が人類と生物へ及ぼす影響,人類と生物圏・環境の動的相互作用に関係する諸テーマ」を扱う.これらの中で,本論では,「気候・環境変動が人類と生物へ及ぼす影響」の解明の一環として,中・高緯度の完新世浅海環境の変動を高分解能で復元するのに有効な「海生二枚貝類の貝殻の成長線解析・酸素同位体比分析」についてレビューする.そこで,まず,成長線解析・酸素同位体比分析の研究方法を概説する.その後,研究事例として,とてつもなく長寿命のArctica islandica, 浅海の二枚貝のPhacosoma japonicum, 海底洞窟生微小二枚貝のCarditella iejimensisの事例研究を紹介する.