2019 年 13 巻 1 号 p. 20-27
離散事象システム・並行システムのモデル化言語の一つであるペトリネットは,1962年にカール・アダム・ペトリによって導入されて以来,様々な理論及び応用研究がなされてきた.ペトリネットにおける最も基本的な解析問題の一つに,与えられた状態に到達可能かどうかを判定する可達問題がある.可達問題は決定可能であるが,計算量が指数オーダとなるためペトリネットにおける諸性質の解析は容易ではない.近年の計算機能力の進歩や様々な手法の開発により,ある程度の規模のペトリネットまでは可達問題を解くことができるようになっている.本稿ではペトリネットの可達問題に対する最近の手法である,記号状態表現を用いる手法,アンフォールディングを用いる手法,モジュラー可達空間を用いる手法,モデル検査ツールを用いる手法を概説する.