電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review
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US研究会提案
非正弦波形強力超音波による効率的キャビテーション生成
森田 剛横澤 宏紀
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2020 年 13 巻 3 号 p. 209-216

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抄録

強力超音波応用デバイスにおいては共振振動を利用するために,その振動波形は正弦波となるのが一般的である.その一方で,超音波ポンプや超音波浮上,キャビテーション生成においては,媒体の体積弾性率の非線形性を積極的に利用するために,必ずしも正弦波形の超音波振動が最適であるとは限らない.本研究では,超音波振動における高次モードが基本周波数の2倍になるような振動子を設計し,正弦波を二つ重ね合わせて台形波形とすることで,キャビテーション生成における波形依存性を検証した.この台形波形駆動の実現には,基本モードと高次モードの共振周波数比を1:2に正確に制御しなくてはならないが,温度上昇や非線形圧電振動によって,その比が容易に変動してしまう.特に振動損失が小さい,つまりQ値の高い振動子を用いる強力超音波振動子では,周波数帯域が極めて狭いために,常に共振周波数比を1:2とすることは極めて困難である.そこで本稿では,駆動用圧電素子とは別に共振周波数制御用圧電素子を導入し,この圧電素子の電気的境界条件に依存したスチフネス変化を利用することで共振周波数比を制御することを提案した.最後に,この手法による台形波形の強力超音波振動をキャビテーション生成に応用した結果について紹介する.

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© 2020 一般社団法人 電子情報通信学会
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