2020 年 14 巻 1 号 p. 6-14
高次元複雑ダイナミクスを活用した情報処理装置の構築について述べる.特に,非線形複雑ハードウェアシステムによる計算パラダイムに至った経緯と,ノイズ付き実数計算やそのアナログ集積回路システムによる実装研究について,体験談を交えて紹介する.非線形複雑工学システムの解析や設計においては,還元論や全体論は有効ではなく,複雑なものは複雑なままで扱うという,これまでの線形システムやデジタル計算機の設計諭とは全く異なる構成論的アプローチが有効であることを述べる.