2024 年 18 巻 1 号 p. 56-70
遅延和(delay-and-sum : DAS)ビームフォーミングは,超音波アレープローブのトランスデューサ素子から得られたエコー信号を使用して超音波断層像(Bモード画像)を生成するために広く使用されている.しかし,遅延和ビームフォーミングによって得られる空間分解能とコントラストは,素子間隔などアレーの物理的な仕様によって制限される.このような制約を克服するために,最近ではディジタル及びプログラマブルな超音波システムの普及を受けて,適応型ビームフォーミングなどが活発に研究開発されている.一方で,開発された方法によって画像の特性が改善されているかどうかを定量的に評価することも重要である.現在,多くの適応型ビームフォーミング法が開発されており,これらはしばしば超音波画像の特性を変化させる.そのため,画質の定量的評価方法を改良する試みも行われている.この記事では,主に適応型ビームフォーミングと画質評価法の最近の展開について解説する.