電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review
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CAS研究会提案
回路設計用先端MOSFETモデルの進化
-Meyer モデルから表面ポテンシャルモデルへの推移-
三浦 道子
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2009 年 3 巻 1 号 p. 1_57-1_65

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抄録

これまで産業界をけん引してきたMOSFET の微細化を推進することが難しくなってきている.これは,微細化によって達成された高性能化を有効に利用する用途が限られてきたことのほかに,微細化によって応用を難しくするMOSFET の特性が顕著になってきたことが挙げられる.一方,エコ社会の実現には,低消費電力回路設計への要求が高い.これを実現するには,MOSFET の微細化は避けて通れない.1970 年代に回路シミュレータが開発されて,たくさんのトランジスタを複雑に組み合わせて様々な性能を持った回路が設計できるようになった.このとき以来長く用いられてきたのが,Meyer モデルで,様々の近似を用いてトランジスタ特性を簡潔な式で記述している.しかし複雑な特性を呈する微細MOSFET にはモデルの精度が不十分になってきた.そこでトランジスタ特性を物理原理に基づいて記述する,表面ポテンシャルモデルが開発され,モデルの主流になりつつある.この変遷をMOSFET特性に基づいて解説する.

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© 2009 一般社団法人 電子情報通信学会
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